「公務員がiDeCoに加入するメリットって何?デメリットも知りたい」
「iDeCoってどうやって始めるの?職場に報告する必要はある?」
そんな悩みを抱えていませんか?
結論をいいますと、公務員のiDeCo加入者は増え続けています。
公務員がiDeCoに加入できるようになったのは2017年からですが、当初、加入者は約8万人だったのが、2024年5月頃には約67万人にまで増加しています。
そこで、この記事では、公務員時代の2018年からiDeCoに加入し、投資信託で運用して現在まで90万円以上の利益を出した筆者が、以下を詳しく解説します。
- iDeCoとは
- iDeCoに加入するメリット4選・デメリット2選
- iDeCoの始め方3ステップ
- iDeCoとNISAは併用可能
ぜひ最後までお読みください。
目次
公務員のiDeCo加入者は増え続けている【約67万人以上】
iDeCo概要(※次のサイトの情報を用いて、表を作成「iDeCoの特徴」(国民年金基金)https://www.ideco-koushiki.jp/guide/)
非課税期間 | 最長75歳 |
月間と年間の投資上限額 | 月間2万円、年間24万円 (2024年12月1日から月間2万円、年間24万円) |
運用益 | 非課税 |
所得控除 | あり (拠出額は全額所得控除) |
投資対象 | ・定期預金 ・保険 ・投資信託 |
資産の引き出し | 原則60歳以降 |
公務員のiDeCo加入者は、年々増加傾向にあります。
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことであり、個人の掛け金で自ら資産運用できる私的な年金制度です。
公務員の場合、拠出上限額は月間2万円、年間24万円月間1万2,000円、年間14.4万円(2024年12月1日以降、月2万円、年間24万円)です。
5,000円~2万円1万2,000円の間であれば、1,000円単位で拠出額が変更できます。
iDeCoは2001年に始まった制度ですが、公務員が加入できるようになったのは、2017年1月からです。
加入できるようになった当初の2017年5月の時点では、公務員のiDeCo加入者は約8万人だったのが、2024年5月頃には約67万人にまで増加しています。
加入者が増え続ける背景としては、年金制度の改正や退職金が年々低下していることが挙げられるでしょう。
公務員であっても、国は老後の生活を保障してくれないため、iDeCoに加入して自分で資金を準備する必要があるといえます。
そんなiDeCoですが、安定した給与をもらいながら定年まで勤め上げることを考えたら、公務員にとっては相性が良い制度といえるでしょう。
次の項目で、公務員がiDeCoに加入するメリットを紹介します。
若手員がiDeCoに加入するメリット4選
- 所得税と住民税の負担を減らせる
- 運用益が非課税となる
- 受け取る際に控除が受けられる
- 掛け金は自動引き落としのため運用に手間がかからない
メリット①:所得税と住民税の負担を減らせる【節税】
iDeCoの掛け金は全額、所得控除にできます。
毎月1万2,000円を掛け金として積み立てた場合、年間14万4,000円が所得控除になる仕組みです。
所得控除にできることで、所得税と住民税の負担を減らせるため、節税も可能になります。
なお、iDeCoの掛け金を所得控除にするには、年末調整での手続きが必要です。
手続きの際に必要な「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、毎年10月から11月頃に国民年金基金連合会から送られてきます。
年末調整の際には、必ず送られてきた原本を添付する必要があります。
紛失しないように大切に保管しましょう。
メリット②:運用益が非課税となる
iDeCoで運用して得られた利益は、全額非課税となります。
通常、投資で得た利益には、20.315%(所得税(復興特別所得税含む)15.315%+住民税5%=20.315%)が課税されます。
例えば、投資で100万円の利益が出ても、通常では約80万円しか手元に残りません。
しかし運用益が非課税のiDeCoであれば、100万円全額が手元に残って再投資も可能になります。
メリット③:受け取る際に所得控除が受けられる【節税】
iDeCoは受け取り時も、所得控除が受けられます。
受け取り方法は2種類あり、それぞれ受けられる控除は以下のとおりです。
- 一時金で受取:退職所得控除
- 年金で受取:公的年金等控除
どちらを選んでも所得控除が受けられるため、税金の負担を軽減させることが可能になります。
ただし、受け取った金額によって、控除対象になる金額が変動するため注意が必要です。
メリット④:掛け金は自動引き落としのため運用に手間がかからない
iDeCoの掛け金の拠出方法は、以下の2種類があります。
- 個人の銀行口座からの引き落とし
- 給与天引き(ただし、事業主証明書の提出が必要)
どちらを選んでも、初回に手続きすればあとは自動で掛け金が引き落とされるため、手間がかかりません。
自動的に老後資金を貯蓄できることも、大きなメリットといえるでしょう。
若手公務員がiDeCoに加入するデメリット2選
- 原則60歳まで資産を引き出せない
- iDeCo口座の開設、維持に手数料がかかる
デメリット①:原則60歳まで資産を引き出せない
iDeCoのデメリットとして、今まで拠出した金額や運用益などの資産が、原則60歳まで引き出せないことが挙げられます。
iDeCoは、老後の資産形成を目的とした年金制度のため、運用途中での引き出しは想定していないためです。
教育費や住宅ローン費など、まとまった資金が必要な場合でも、iDeCoの資産を使うことができないため注意が必要です。
デメリット②:iDeCo口座の開設、維持に手数料がかかる
iDeCoに加入すると、以下の手数料がかかります。
新規加入時 | 税込2,829円(加入時のみ、共通) |
口座管理手数料 | 月額税込171円 |
運営管理機関手数料 | 0円~数百円(金融機関によって異なる) |
事情があって掛け金の拠出をやめても、60歳まで引き出せないため運用は継続されます。
掛け金を拠出していなくても、運用中は口座管理手数料と運営管理機関手数料がかかるため、注意が必要です。
若手公務員のiDeCoの始め方3ステップ
- iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶ
- 書類の準備と利用手続きを行う
- 掛け金と金融商品を決めて、運用開始する
ステップ①:iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶ【ネット証券がおすすめ】
若手公務員が、iDeCoに加入する際に最初にすることは「iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶ」ことです。
iDeCo口座を開設できる金融機関は多数ありますが、ネット系と実店舗系で特徴が異なります。
そこで、おすすめするのはインターネット上で取引できる「ネット証券」です。
ネット証券は、実店舗型と比べて手数料が安い傾向にあります。
iDeCoは、原則60歳まで資産が引き出せないため、数十年にわたって運用を続ける必要があります。
運用している間、手数料が毎月発生するため、ひと月あたり数百円であっても、長期間の運用を続ければ手数料の差は非常に大きいといえるでしょう。
そのため、若手公務員がiDeCo口座を選ぶ際は、運用コストの低いネット証券をおすすめします。
ステップ②:書類の準備と加入手続きを行う
続いて、書類の準備とiDeCo加入の手続きを行います。
準備する書類は、以下のとおりです。
- 個人型年金加入申出書
- 事業主証明書(掛金の拠出に「給与天引き」を選択した場合は必要)
- 本人確認書類
- 年金手帳や基礎年金番号通知書
- 掛金の引き落としをする銀行の口座情報 など
公務員がiDeCoに加入する際、掛け金の拠出を「給与天引き」にした場合「事業主証明書」が必要です。(個人の銀行口座からの引き落としを選択した場合は不要、※2024/12/1追記)
「事業主証明書」は、勤務先に記入を依頼する必要があります。
証明書の受取りまでに時間がかかることも想定できるため、早めに依頼しましょう。
書類が準備できたら「ステップ①:iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶ」で選んだ金融機関で加入の手続きを行います。
なお金融機関に書類一式を提出しても、すぐに運用が開始できるわけではありません。
国民年金基金連合会で口座開設の審査があり、何一つ不備がなかったとしても、審査完了まで1~2ヶ月ほどかかります。
不備があった場合、返送や再提出などで余分に時間がかかるため、提出前にしっかり確認するようにしまよう。
ステップ③:掛け金と金融商品を決めて、運用開始する【投資信託がおすすめ】
無事、iDeCo口座を開設できたら掛け金と購入する金融商品を選び、運用を開始しましょう。
iDeCoでは、運用を目的とする投資信託だけでなく、定期預金や保険などの元本確保型の金融商品も用意されています。
たくさんある金融商品のなかでも、若手公務員におすすめなのは投資信託です。
投資信託は短期での取引では利益を出すのが難しい金融商品ですが、運用期間が長ければ長いほど利益を出しやすい商品です。
若手公務員は30年ほどの運用期間が確保できるため、元本保証がなくても投資信託を購入することをおすすめします。
iDeCoはNISAと併用できる
同じく非課税投資制度である「iDeCo」は、NISAと併用可能です。
NISAとは「少額投資非課税制度」をいいます。
iDeCo同様、公務員もNISAは利用可能です。
公務員がNISAを利用する場合、以下の5つのメリットがあります。
- 運用益が非課税
- 共済貯金よりも高い利益が期待できる
- ほったらかし投資ができる
- いつでも引き出せる
- 給与以外でお金を増やせる
一方、デメリットは、以下の3つです。
- 1人1口座まで
- 元本割れがあることを理解する
- 上限を超えると課税対象
NISAはiDeCoと異なり、いつでも資産を引き出せるのが魅力的といえます。
両方の制度を併用することで、効率的な資産形成が図れるでしょう。
若手公務員は、iDeCoとNISAの両方を併用する検討をおすすめします。
まとめ:若手公務員はiDeCoで老後の資産形成を始めよう
若手公務員は、早いうちからiDeCoで老後の資産形成を始めることをおすすめします。
退職金が年々低下しており、公務員であっても国は老後の生活を保障してくれません。
自分で老後資金を準備する必要があります。
公務員がiDeCoに加入するメリットは、以下の4つです。
- 所得税と住民税の負担を減らせる
- 運用益が非課税となる
- 受け取る際に控除が受けられる
- 掛け金は自動引き落としのため運用に手間がかからない
反対にデメリットは、原則60歳まで資産を引き出せないことやiDeCo口座の開設、維持に手数料がかかることが挙げられます。
確かに上記デメリットは、若手公務員にとっては当てはまるといえるでしょう。
しかし安定した給与をもらいながら定年まで勤め上げることを考えたら、公務員全体にとってはデメリットにはなりにくいといえます。
iDeCoは公務員にとって相性の良い制度のため、若手公務員は早いうちから始めて老後の資産形成を図りましょう。
なお、同じ非課税で資産運用ができる制度として「NISA」があります。
詳しくは「若手公務員の資産運用はNISAがおすすめ!メリット5選や注意点を解説」で紹介しています。
併せてぜひお読みください。
「公務員のiDeCo加入者が増えているって聞いた。大体、何人くらいが加入しているの?みんな加入しているなら、自分も加入しようかな」