「公務員がNISAを利用する上でのメリットは?注意点もあれば知りたい」
「NISAって何だか難しそう。始め方も複雑じゃないの?」
そんな悩みを抱えていませんか?
結論をいいますと、若手公務員の資産運用はNISAがおすすめです。
さまざまなメリットがあるため、NISAだけでも始めるべきといえるでしょう。
そこで、この記事では、31歳からNISAを始めて現在まで約270万円の利益を出した元公務員の筆者が、以下を詳しく解説します。
- 公務員はNISAを禁止されていないし、副業でもないこと
- NISAとは何か
- NISAのメリット5選
- NISAの3つの注意点
- NISAの始め方3ステップ
- NISAはiDeCoと併用可能
ぜひ最後までお読みください。
目次
公務員はNISAを利用してもOK【禁止されていない・副業にも該当しない】
公務員でも、NISA(少額投資非課税制度)は利用できます。
禁止もされていませんし、副業でもありません。
公務員が禁止されている副業は、企業の経営や兼職、非営利団体へ従事することです。
NISAを含めた資産運用は上記に該当しないため、公務員も安心して利用できます。
そもそも、NISAは金融庁が主催する制度です。
金融庁自体が、各府省や地方自治体に利用を促している(職場つみたてNISA)ため、公務員のNISA利用が禁止されていないことは明らかといえるでしょう。
年末調整や確定申告もする必要がない【非課税】
NISAは、年末調整も確定申告も原則不要です。
通常、投資で利益が出ると、その利益に対して20.315%(所得税(復興特別所得税含む)15.315%+住民税5%=20.315%)の税金が課せられます。
税金が課せられる場合、基本的には年末調整や確定申告が必要となります。
しかしNISAは小額投資非課税制度の名のとおり、運用益を得ても課税はされません。
課税がされないということは、年末調整や確定申告も必要ないということです。
年末調整や確定申告の必要があるのではと感じてNISAを避けていた若手公務員も、安心してNISAを利用しましょう。
職場に報告する必要はない
NISAを利用していることを、職場へ報告する必要はありません。
NISAを始める上で手続きするのは、証券口座や銀行などの金融機関だけです。
在籍確認などで、金融機関が職場に確認することもありません。
一方、同じように投資をする上でお得な制度である、iDeCo(個人型確定拠出年金)は職場に報告する必要があります。
iDeCoを利用するには、資格の有無を確認するための書類(事業主の証明書)を職場に記入、押印してもらい、金融機関に提出する必要があるためです。
iDeCoを利用する際は強制的に職場にバレますが、NISAは自分が報告しない限りバレないため、安心して利用しましょう。
若手公務員がお得に資産運用できるNISAとは【新NISA】
(画像引用元:金融庁 | NISA特設ウェブサイト)
【NISA概要(新NISAは2024年~)】
旧NISA つみたてNISA | 旧NISA 一般NISA | 新NISA つみたて投資枠 | 新NISA 成長投資枠 | |
非課税期間 | 20年 | 5年 | 無制限 | 無期限 |
年間投資枠 | 40万 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
生涯投資枠 | 800万 | 600万円 | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資対象商品 | 投資信託など | 上場株式、投資信託など | 投資信託など | 上場株式、投資信託など |
制度の併用 | 不可 | 不可 | 可能 | 可能 |
NISAは、2014年から開始された「少額投資非課税制度」です。
通常、投資で得た利益には、20.315%の税金がかかりますが、NISAを活用すれば一定の金額まで非課税となり、効率的に資産が形成できます。
2024年から新NISAが始まりましたが、それまで「一般NISA」と「つみたてNISA」に分かれていて併用できなかったものが、一本化されました。
口座開設期間や非課税保有期間も、2023年までは期限が設けられていました。
しかし新NISAでは、期限も撤廃して無期限化されたため、より長期的な運用が可能になり、さらに効率的な資産形成が期待できます。
なお投資初心者の若手公務員は「つみたて投資枠」での積立投資がおすすめです。
「つみたて投資枠」で取り扱っている商品は、金融庁の基準を満たした投資信託のみで、長期的な積立投資に向いた金融商品が揃っています。
初心者には不向きなものは除外されているため、効率的に資産形成ができるでしょう。
投資初心者の若手公務員にとって、NISAは特におすすめできる制度といえます
若手公務員が資産運用でNISAを利用するメリット5選
- 運用益が非課税
- 共済貯金よりも高い利益が期待できる
- ほったらかし投資ができる
- いつでも引き出せる
- 給与以外でお金を増やせる
メリット①:運用益が非課税
NISA口座で投資した場合、得られた運用益は非課税となります。
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかるため、非課税になることで効率的に資産形成ができることでしょう。
例えば、投資で100万円の利益が出ていた場合、通常では約20万円が税金として徴収されます。
これがNISA口座で投資した場合、運用益が非課税なため100万円の利益をそのまま受け取ることができます。
税金で損をすることなく、投資の利益を受け取れるNISAを利用しない理由は少ないといえるでしょう。
メリット②:共済貯金よりも高い利益が期待できる
共済貯金を利用している若手公務員も多いのではないでしょうか。
NISAは、そんな共済貯金よりも高い利益が期待できます。
NISAと共済貯金で、同じ月1万円で20年間積み立てた場合の資産状況を比較します。
▼NISAで月1万円×20年間積み立てた場合(年利4%)
※金融庁発行の「つみたてNISA早わかりガイドブック」によると、20年間の積立成果で最も多く出現した年利は「4%~6%」のため、年利4%を採用
※「アセットマネジメントOne:資産運用かんたんシミュレーション」にて計算
積立金額/積立期間(年利4%) | 元本(円) | 運用益(円) | 運用資産額(円) |
5年 | 600,000 | 62,990 | 662,990 |
10年 | 1,200,000 | 272,499 | 1,472,499 |
20年 | 2,400,000 | 1,267,747 | 3,667,747 |
上記のとおり、毎月1万円を投資した場合、20年後には元本240万円に対し、約370万円の運用資産が生まれました。
長期の投資によって、利益が利益を生む複利効果が発揮され、大きな資産が生まれることがみて分かります。
▼共済貯金で月1年間×20年間積み立てた場合(年利1.52%)
※国家・地方公務員の共済組合共済貯金において、最も高い神奈川県の年利1.52%を採用
積立金額/積立期間(年利1.52%) | 元本(円) | 運用益(円) | 運用資産額(円) |
5年 | 600,000 | 22,670 | 622,670 |
10年 | 1,200,000 | 93,804 | 1,293,804 |
20年 | 2,400,000 | 396,868 | 2,796,848 |
上記のとおり、共済貯金で20年間、毎月1万円を貯金し続けると元本240万円に対し、約280万円の運用資産が生まれました。
同じ条件でNISAを利用した場合と比べて、運用資産には約90万円もの差が出たことがみて分かります。
さらに共済貯金の運用益は、課税対象です。利益を確定すると、税金が課せられます。
一方、NISAの運用益は非課税です。
共済貯金より高い年率が期待できて、運用益が非課税で受け取れるNISAが、いかにお得な制度かということが分かることでしょう。
メリット③:ほったらかし投資ができる
若手公務員がNISAを利用するメリットは、ほったらかし投資ができることです。
投資初心者の若手公務員におすすめなのは、「つみたて投資枠」での積立投資です。
積立投資は最初に1度、購入する金融商品と金額を設定すれば、あとは自動的に積み立てられます。
自分で停止しない限り、積立投資が続くため、忙しい若手公務員も手間をかけることなく、ほったらかし投資が可能になります。
メリット④:いつでも引き出せる
NISAのメリットは、いつでも引き出せることです。
一方、NISAと同じように投資をする上でお得な制度であるiDeCoは、原則60歳まで引き出すことができません。
NISAがいつでも引き出せることで、将来的に教育費や住宅ローン費などに充てることもできます。
資産運用は、若いうちから始めることで将来的に大きな利益を期待できます。
若手公務員は、NISAを早くから始めて将来的な出費に備えましょう。
メリット⑤:給与以外でお金を増やせる
副業が禁止されている公務員にとって、NISAは給与以外でお金を増やせる数少ない手段です。
一応、公務員が副業しても確定申告を別途することで、職場にバレることはありません。
しかしアルバイトなどでは、同僚や市民からバレて通報される可能性もありますし、なによりバレたら懲戒処分の対象となります。
自分で報告しない限りバレることなく堂々とお金を増やせるNISAは、若手公務員にとって大きなメリットといえるでしょう。
若手公務員が資産運用でNISAを利用する際の3つの注意点
- 1人1口座まで
- 元本割れがあることを理解する
- 上限を超えると課税対象
注意点①:1人1口座まで
NISAは、1人1口座までしか開設できません。
最初に開設した口座を長期的に利用する可能性が高いため、口座選びを慎重に行う必要があります。
一応、利用しているNISA口座の金融機関を変更することも可能ですが、手間がかかります。
NISA口座は1年ごとに金融機関が変更できますが、その年に1度でも商品を購入していると変更できないため、注意が必要です。
注意点②:元本割れがあることを理解する
NISAに限らず、資産運用には元本割れがつきものです。
運用結果次第では、損失を被る可能性があることを理解する必要があります。
しかしNISAで積立投資をする場合、長期で運用するほど利益を得やすい傾向にあります。
元本割れを避けるためには、長期運用を前提に始める必要があるといえるでしょう。
注意点③:上限を超えると課税対象【将来的に知っておくこと】
これからNISAを始める若手公務員に将来的に知っておいてほしいことが、年間投資枠と生涯投資枠の上限を超えると課税対象になることです。
つみたて投資枠:年間120万円/月10万円
成長投資枠:年間240万円/月20万円
合計:360万円/月30万円
生涯投資枠の非課税上限額は、1,800万円となります。
若手公務員がNISAを始めてすぐに、2つの投資枠の上限を超えるお金を捻出できるとは考えにくいですが、将来的には十分考えられるといえます。
課税されないためには、非課税上限額のなかで売却するなどしてやりくりする必要があるといえるでしょう。
若手公務員のNISAの始め方3ステップ
- NISA口座を開設する金融機関を選ぶ
- 金融機関でNISA口座を開設する
- 金融商品を選んで、投資を開始する
ステップ①:NISA口座を開設する金融機関を選ぶ【ネット証券がおすすめ】
若手公務員がNISAを始める際の最初のステップは「NISA口座を開設する金融機関を選ぶ」ことです。
NISA口座を開設できる金融機関は多数ありますが、おすすめはインターネット上で取引できる「ネット証券」です。
基本的に口座開設は無料で、開設後の口座管理費も無料となります。
さらに取引や値動きの確認なども、スマホ1つで操作可能です。
手数料も実店舗型の金融機関と比べて安い傾向にあるため、若手公務員はネット証券を選ぶことをおすすめします。
ステップ②:金融機関でNISA口座を開設する
続いてのステップは、実際に「金融機関でNISA口座を開設する」ことです。
ネット証券であれば、基本的にインターネット上で開設手続きが済ませられます。
郵送で手続きするより早く開設できるため、早めに取引したい場合、インターネット上で手続きしましょう。
なお必要な書類は、マイナンバー関係書類と本人確認書類です。
マイナンバーカードを取得している場合、必要書類はマイナンバーカード1枚のみで問題ありません。
ステップ③:金融商品を選んで、投資を開始する
NISA口座を開設したら、最後のステップは「金融商品を選んで、投資を開始する」ことです。
証券会社のホームページにログインして、自分の投資目的にあった金融商品を選びましょう。
最後に積み立てる金額を設定して、発注すれば完了です。
あとは新たな設定をする必要もなく、ほったらかし投資が開始できます。
NISAはiDeCoと併用できる
同じく非課税投資制度である「iDeCo」は、NISAと併用可能です。
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことであり、個人の掛け金で自ら資産運用できる私的な年金制度をいいます。
iDeCoも、NISA同様に公務員も利用できます。
iDeCoのメリットは、以下の4つです。
- 所得税と住民税の負担を減らせる(節税可能)
- 運用益が非課税となる
- 受け取る際に控除が受けられる(節税可能)
- 掛け金は自動引き落としのため運用に手間がかからない
反対にデメリットは、以下の2つとなります。
- 原則60歳まで資産を引き出せない
- iDeCo口座の開設、維持に手数料がかかる
iDeCoは老後資産の準備が目的という特徴がありますが、NISAと併用することで効率的な資産形成が図れるでしょう。
若手公務員は、NISAとiDeCoの両方を併用する検討をおすすめします。
まとめ:若手公務員はNISAを始めて非課税で資産運用しよう
若手公務員が資産運用を始める場合、NISAを活用しないと損をするおそれがあります。
通常、投資で得た利益には税金がかかるところ、NISAは税金がかからず非課税なためです。
そのほか若手公務員がNISAを利用するメリットは、以下の4つがあります。
- 共済貯金よりも高い利益が期待できる
- ほったらかし投資ができる
- いつでも引き出せる
- 給与以外でお金を増やせる
さらにNISAは、金融機関を選んだら口座を開設し、金融商品を選んで投資を始めるという簡単な3ステップで始められます。
NISAを活用すれば非課税でお得に資産運用ができるため、若手公務員はこの機会にぜひ始めてみましょう。
なお、同じ非課税で資産運用ができる制度として「iDeCo」があります。
詳しくは「若手公務員がiDeCoに加入するメリット4選!デメリットや始め方も解説」で紹介しています。
併せてぜひお読みください。
「公務員の資産運用はNISAがおすすめって聞いた。公務員って資産運用は禁止では?副業になるんじゃないの?」